薫藤園ご利用者・ご家族、職員の俳句・短歌作品です。(順不同・敬称略)
平成31年~令和元年の作品
令和元年秋~冬の作品
反り強き橋を渡りて初詣
昇り竜さながらの松大旦
藁屋根に弾みてゐたる寒雀
柴崎 加代子
未知の世へ更なる歩み大旦
多々良沼鴨の大群憩ふ日々
木の葉髪母の齢を超しにけり
道給 㐂仙
除雪車の安全祈願旧街道
冬晴や吉凶占ふ釜の湯気
初富士やつなぐ駅伝登り坂
高鳥 洋子
良と出てひとまづほっと初みくじ
にぎやかな初夢に音なかりけり
三日はや車停まりて精米所
今成 公江
掃き寄するほどもなき嵩寒椿
寄鍋を囲み栄転祝ひけり
日を浴びて藁の匂へる霜囲ひ
長瀬 三男
枯草や池に深ぶかと根をはりし
帰宅して甘酒温め身もぬくき
ロープウェイ眼下に望む樹氷かな
長澤 利江
寒卵胸にかかへて妹の来る
百円の嬉し二歳のお年玉
枯れ菊のなほも芳香秘むるかな
野村 節子
初御空狭しと気球揃ひけり
大凧の風に応へてきげんよし
観客に日差し奪はれ寒牡丹
蛭間 秀紅
大正に生れし吾の昭和・平成・
令和へと長き旅する
特養へ古曲芸能ボランティア
三味線の音色の余韻いつまで
苦しくも子育ての頃なつかしく
想い出される九十余歳
小磯 和歌子
活花し後に小さなお茶の会
楽しさつづく交流の時
運動会子供に戻り競い合う
パン喰い玉入れ大き声援
特養の庭での食事芋煮会
青空見つつ会話もはづむ
大塚 洋子
令和元年春~夏の作品
出湯でて夫と落合ふ良夜かな
友白髪一尾のさんま分かち合ふ
ふるさとのどの道ゆくも露けしや
柴崎 加代子
花芒抜いて背の児あやしけり
黄落の木の手辺より始まりぬ
ちぎり絵のやうな雲飛ぶ野分けあと
高鳥 洋子
誇らしく孫のえらんだ日傘さし
盆まいり親を追い越す孫たちよ
送迎車青田ひろがる園の前
長澤 利江
穂芒も釣りする人も茜色
大稲田下り電車の客疎ら
月の苑宇宙の旅に出しごと
野村 節子
大木に確と爪立て蝉の殻
今もなほ残る渡船場花芒
手に触れて温もりありし花芒
蛭間 秀紅
神域に笑顔の揃ふ夏祭り
輪くぐりや幼児もくぐり神詣
少女等のままごと遊び赤のまま
道給 㐂仙
つつがなく敬老の日をまた迎え
稲刈りの音と匂ひの届きたる
運動会終わりは大きな夕日かな
今成 公江
声援に燃ゆる子も居て運動会
今年また手応えありし籾袋
稲刈りや機械使ひも父に似て
長瀬 三男
外出デー家族と共に過ごす時
尽きぬ話と絶えない笑顔
厄災を祓いにくぐる大茅の輪
心身清め無事感謝する
子供らの歌と踊りを楽しみに
笑顔で向かう交流ホール
大塚 洋子
利根を背に羽生我が里水満ちて
黄金波うつ豊作の年
ゴーヤのバナナジュースは特養の
人気メニューの夏の御馳走
百歳の利用者様へ総理より
感謝状届く特養が勇く
野村 節子
平成31年~令和元年春の作品
麦秋や循環バスのがらんどう
緑さす洗ひ終へたる消防車
知らぬまに殖えてざくざく小判草
柴崎 加代子
白牡丹夕べ崩るる静寂かな
子供等の笑顔の揃ふソーダ水
花水木戦に果てし兄偲ぶ
道給 㐂仙
霜ガラス戸の守宮今宵は親子連れ
夏料理竹林よりの風加へ
麦秋や手打ちうどんの幟旗
高鳥 洋子
初節句ひな壇かこみ笑むおきゃく
枯れ茎の根元に菊芽萌え出ずる
春めいてはるか遠くに山かすむ
長瀬 三男
田植機にゆくてふさがれ回り道
香をこぼす植ゑしばかりの花蜜柑
出勤簿印くっきりと薄暑かな
野村 節子
雨の日の匂重たき栗の花
老鶯の声を間近に湯宿かな
ビルの窓から身に賜ふ若葉風
蛭間 秀紅
デイ友とレクで作りし鯉のぼり
五月の空をゆう/\およぐ
大正に生をうけ
大正 昭和 平成 令和とながき旅
小磯 和歌子
新年の気持ち改め初詣
皆と一緒に平安祈願
毎月の花は何かと楽しみに
気持ち華やか活花教室
特養の交流行事カラオケも
昭和の唄はみんな大好き
大塚 洋子