薫藤園ご利用者・ご家族、職員の俳句・短歌作品です。(順不同・敬称略)
平成30年の作品
平成30年秋~31年新春の作品
大物の鯛を釣り上げ初寝覚
成人の日の大いなる靴みがく
留学の赤いトランク春近し
柴崎 加代子
未知の世へ更なる歩み大旦
多々良沼鴨の大群憩ふ日々
木の葉髪母の齢を超しにけり
道給 㐂仙
良き声で庭に鳴く鳥お元日
山門に遠く並びて初詣
買初や境内に買ふ甘太郎
今成 公江
何よりも青菜のかをり雑煮汁
新年会ついつい禁酒破るかな
受験子へ眠気覚ましの紅茶かな
長瀬 三男
春咲きの球根植えて名札たて
すずなりの柿の実映える日和かな
盆栽や枝ひろげ咲く小菊かな
長澤 利江
富士山の裾野へ届く初明かり
ひともとの水仙香る父の部屋
山里の田畑に低く冬霞
野村 節子
気に入りの一句したため筆始
電子音鳴らして初湯沸きにけり
鋤き返す土の輝き春隣
蛭間 秀紅
ひこ孫の運動会のVサイン
優勝カップ胸でかゞやく
コスモスの葉先に止まる赤トンボ
風にゆらゆら秋の夕暮れ
小磯 和歌子
園庭で楽しむ食事芋煮会
秋刀魚も焼いて季節を感じる
歌謡ショー昭和の名曲数多く
目を閉じ歌い思いに更ける
ありがたき防災訓練しっかりと
皆で協力地域と共に
大塚 洋子
平成30年夏の作品
新米の粥の真白に炊きあがる
呼びかけの声を惜しまず赤い羽根
音たがへ門のうちそと虫しぐれ
柴崎 加代子
コンバイン刈り行く先へ赤とんぼ
荒縄で括り干したるずいきかな
高鳥 洋子
朝顔の窓辺に咲かせ名画なり
時忘れ見入る花火に若返る
茗荷の子親元近く白い花
長澤 利江
今日生くる命素直に吾亦紅
杜鵑草ひたすら歩む九十路
秋蝶の舞い来る庭にしばし佇む
道給 㐂仙
新米と矢印の立つ曲がり角
母と子に敬老の日の招待状
大安にこだはる夫や大根蒔く
今成 公江
豊作の小玉スイカの甘さかな
庭先に夜風待ち受く涼み台
朝顔の花数多し日記書く
長瀬 三男
秋晴の風にをどりし濯物
今もなほ残る渡船場花芒
体温のめがねくもらす暑さかな
蛭間 秀紅
大稲田下り電車に客疎ら
穂芒も釣りする人も茜色
糠床へそっとさしこみ秋茗荷
野村 節子
ウクレレの奏でし曲にうっとりと
若き日のころ蘇り来る
ウクレレとコントラバスのボランティア
デイサービスへ歌の花咲き
小磯 和歌子
童心へ返って狙ふ割箸射的
特養ホールの祭りにぎわふ
昼食に皆さんいっしょのバイキング
箸を持つ手も止まらぬ様子
介護職向上すべく研修会
一人ひとりが福祉を胸に
大塚 洋子
高齢に出会いし猛暑八十路にて
痛く齢を自覚した日々
挿し菊の白き根張りたしかめて
鉢におさめて咲く日待ちをり
朝夕の風の涼しさ頬に受け
猛暑も忘れ自然の恵み
野村 節子
平成30年春の作品
色白の男 の子の増えて柏餅
遠足の列古墳をのぼりゆく
御代りのおこげまたよし豆ごはん
柴崎 加代子
とりどりの薔薇に狭庭を明るうす
五月来ぬ香煙流れ経を読む
遥かなる戦時の記憶麦の秋
道給 㐂仙
藤の花池に写して跳ねる鯉
たんぽぽの石の割目に出てて咲く
頬寄せて梅の香に酔う昼下がり
長澤利江
特養棟四方 の青田の日々に濃し
吟行や薄暑の森に風の道
泥沼に生 れて気高き蓮華 かな
野村節子
大空に輝く家紋鯉幟
板前の声きびきびと初鰹
切り立ての供花に一筋くもの糸
蛭間節子
風ふるる青き鎌あげ子かまきり
円墳の裾野にひらく古代蓮
蚊遣火を腰に一人の畑仕事
高鳥洋子
まろやかな味の蕗煮の振る舞はれ
巣をねらふ鴉に向かふ親燕
麦藁の焼かれ古墳の里けぶる
今成公江
誘い合ひ藻刈仕事の日曜日
平凡に生きて仕事の花見酒
大空を昇り行くかに鯉幟
長瀬三男
ひこまごの入園式の便りあり
笑顔の写真に心いえる
ふきを煮て季節の香りかみしめる
今も昔も変らぬ味に
風光り小雀数羽舞いおりて
風にひらひら白蝶の舞ふ
小磯 和歌子
特養の中庭飾る藤の花
香り広げて紫けぶる
白ぴんく藤の花咲く大天白の
年々美し子育ての神
挿し菊の時を定めし挿し苗の
白根はしかと土をつかみぬ
野村節子
写真撮るお内裏様とお雛様
少しはにかみ顔出しパネル
茶の中に舞い散る光花ふぶき
思わず見上げさくら美し
職員のふとした一面現れる
試行錯誤の誕生会よ
大塚洋子
平成29年~30年の作品
初日の出坂東太郎の水面照り
ブランドの服のプードルお元日
夫の手を借りてましろく障子貼る
柴崎 加代子
未知の道一歩踏み出す大旦
神物に感謝し仰ぐ初日の出
人日や幼と遊ぶ日ときめて
㐂仙
武者絵凧抱へ風待つ親子かな
冬耕や浅間秩父嶺仰ぎ見て
訪れる人無きチャペル雪明り
高鳥洋子
初日待つ土手の善男善女かな
年始客野菜貰って帰りけり
青空へかけ上がりゆく梯子乗
今成公江
初夢や久方振りの父と母
ガス栓を確かめて寝る冬の夜
福袋目当ての客で賑はへり
長瀬三男
白き富士花壇の手入れおこたらず
下校児の明るき声や草紅葉
凍てついて花苗日矢に立ち直る
野村節子
中庭へ山茶花咲いて花あかり
水仙の香りも届く部屋飾る
特養のいつも楽しい新年会
木村トミ
特養のみんな参加の運動会
北朝鮮世界さわがす年の暮
友に逢え笑顔の今日はかき初め日
速水 浩
神女の舞と笛の音に
子の白無垢すがたみ杜のあかりに浮かぶ
ラジオよりシューベルトの冬の曲流れき
思わず涙こぼるゝ夕べ
雪どけの水は光りて利根の堰
むさし水路の旅の初まり
野村節子
秋ひっそりと冬の寒さに葉を寄せて
万年青は春の息吹きをまてり
菊枯れて淋しき庭の落葉掃く
あれこれと思うばかりや年暮るゝ
小磯 和歌子
チビッコの笑顔溢れる交流会
いつのまにやら気持ちも若く
ショッピング乙女のすがたで楽しんで
優雅のランチに話が弾む
今月もいつも楽しみ誕生会
話すあなたのバースデー
大塚洋子